第3章:はじめの一周

リンクに戻って来たのは午前8時50分頃。
9時にスピードクラスがスタートする。
それを見送ったら、私も出発だ。
撮影するためそれを待ち、相棒の誰かが来るまでさらに待ち...。
先発のツアークラスがスタートしてからおよそ2時間遅れのスタートである。

氷龍さんを捕まえた。
氷龍さんはすでに5周しているという。
しばらくして副会長を発見。
彼は現在3周。
愉快なパフォーマンスを見せるところなどは、
いかにもお気楽スケーターである。
一見、余裕そうである。

午前9時現在、気温は氷点下2度。
風は相変わらず強いが陽射しも強いため、あまり寒さは感じない。
この程度であれば、富士急ハイランドの明け方の寒さの方がずっと凄いと思う。
私の服装は、Tシャツの上にフリース、スキー用タイツ、
その上にスノーボード用のウェア、青いキャップの上にフードをかぶっている。
動くと暑いほど。
途中までビデオカメラ片手に滑っていたのだが、さすがに重い。
ウェアのポケットにしまい込む。

2kmを過ぎたあたりで進行方向が変わる。
ここからは強い向かい風との戦いだ。
何とか前へ進んではいるが、
滑るというより「歩いている」ようなもの。
とにかく疲れる。
ダブダブのスノーボードウェアは風の抵抗など何も考えていない。
もろに全身で風を受けてしまう。
スピードの選手が多く着ているウェアは、
なるほど、効率が良さそうだ。
私は依然としてスローペースのまま。
途中まで追いかけていたはずの氷龍さんの姿はすでになし。
5周も回ってあのペースとは信じられない。
一方、コースの所々では立ち止まって休んでいる者あり。
お互いに追い越したと思ったら追い越されて...
サービスポイントが見えて来るまでがとにかく長かった。

ようやく、サービスポイントに到着。
クタクタになって椅子に座り込む。
スタッフの方から「暖かいものでもいかがですか?」との声に思わず「ください!!」。
スープがおいしくて身に染みる。
チーズを挟んだレーズンパンも食べる。ドリンクも飲む。
10分以上は居たかもしれない。
ビデオ撮影のこともすっかり忘れていた。

そろそろ滑走再開。
依然として風は強いが足取りは急に軽くなった。
体力温存の滑りに切り替え、それからはコツが掴めてきた。
スタンプポイントの手前あたりで追い風に変わる。
ひとつめのスタンプ。
「はい、頑張って!」の声に「行ってきま〜す!!」の返事で返す。
調子に乗って、バック滑走など織りまぜながら、1周目をクリア。
まだまだ先は長い。
予定通り25kmを目標にしよう。残りあと4周。


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