福岡日帰り遠征

遠征日:1999/09/03
掲載日:2004/02/26


第1章:突発君登場

数ある遠征の中でも、今回は「長野方面7はしご遠征」 「阿寒湖スケートマラソン」に並ぶ無謀さだった「福岡日帰り遠征」。
関東発福岡行きの往復でしかも日帰りなんて、仕事でもなければ普通はやらない。 ほとんど「勢い」だけで強行した感じだ。

その当時、オフ会好きを自称するようなハンドル名を持つお気楽会のメンバーがいた。

その名は「突発君」。

スケートについては初心者であるが、ネットへの入れ込みようは相当なもので、 「広報担当」を自称するメンバーのひとりだった。
今回も何を思いついたか「福岡へ行きます」といって準備を進めていた。

普段から車での移動が多い私は、羽田までも車で行くことを決定。
途中で突発君を拾い、首都高速の出口をひとつ通り過ぎてしまうハプニングを経て、 ほぼ定刻通りに羽田着。
福岡空港まで約1時間の空の旅。


第2章:走る地図帳

福岡に降り立ったのは午前9時過ぎ。空港から地下鉄で千代県庁口駅へ。

なぜか突発君はこの地下鉄に詳しい。
実家(?)がこの沿線にあるらしい。
どうやらそのついでの遠征だったようだ。
しかしこの駅で降りたことはないと見た。
地上に出ていきなり迷う。
現地の地図を忘れてきた。
所在地のメモ書きもない。
近くにあった住居地図にもスケート場らしきものはなく、「パピヨン」と名の付く建物をいくつか見つけただけ。
突発君は大荷物。探し歩くにはちょっとつらい。

仕方がないので奥の手に出た。
タクシーに登場願う。

「パピオアイスアリーナまで。」
「あいさりーなっていうのは、知らないなぁ。パピヨンっていうのはいくつかあるけど。」

えっ? あいさりーなじゃないってば。
仕方ない、切り口を変えよう。

「このあたりに、パピオっていう名前が付いたスケート場があるらしいんですけど、ご存知ですか?」
「スケート場?このあたりにあったかなぁ。ボウリング場なら、すぐ近くにあるよ。千代文化スポーツセンターとかいってたかな。」

ボウリング場とスケート場が併設していることは多い。
ほぼ間違いない。

「たぶん、そこかもしれません。」
「じゃあ、とりあえず行ってみる?もし違っていたら、また探せば良いし。」

こうして車は我々を乗せて走り出す。
乗車時間は、信号待ちを含めて約1分。
建物に近付くと、ちゃんと「パピオアイスアリーナ」って書いてあるじゃないか。
振り返れば、乗車ポイントのカーブがまだ見える。
初乗り660円。情報料と運送代いったところか。


第3章:午前10時

4階建てと思われる、きれいな外壁。早速、建物の中へ。

リンクは3階にあるらしい。
エスカレーターに乗って受付に到着。
誰もいない様子。
券売機らしきものを発見。
しかしそれを覆い隠すかのように置かれた立て看板。
故障中か?チケットはどこで買うんだ?

そう、まだ営業時間になっていなかったのだ。
オープンは12時から。あと2時間弱、これからどうしよう。
とりあえず、あちこち撮影する。
さらに、今タクシーで来た道を歩いてみる。
地下鉄の入り口周辺を散策する。
さっき迷っていた場所の近くに喫茶店を見つけ、休憩する。
アイスコーヒー1杯で30分以上も。
ついでに突発君がモバイル端末を引っ張り出す。
確か、掲示板に何か書き込んでいたはず。


第4章:とんでもない2人

駅からパピオまで再び歩いて現地へ向かう。

今度は受付に人がいる。立て看板も移動している。
チケットを買っていよいよリンクへ。

外壁と同じく、場内もきれいだ。
3階と4階が吹き抜けになっていて、 ビル内リンクによくある天井の低さは全くない。
アリーナ席まである。
最初からスポーツ施設として設計された感じ。

開場1番乗りとはいえ、我々の他にはまだ誰もいない。
考えてみれば、今日は平日の金曜日である。
しばらく撮影と滑走。
時間が早いので氷も当然良い。

突発君が2人のスケーターを見つけたらしい。
ジーパンをはいている私とは服装の雰囲気がまるで違う。
スケートに適した格好。
その時の2人が、「JM」氏とその奥さんだった。
JM氏は、恐れ多くもフィギュアスケートの元全日本選手にあらせられる。
この場に冷静でいられたのは、私自身が競技スケートに詳しくなかったからだ。
この2人がどれ程凄い人たちなのかを即座にイメージできなかったのだ。
今思うともったいない話である。

その後、もうひとり見つけた。
お2人の知り合いである「へんな広島のおっさん」氏。
長身でカッコいいタイプ。
明らかに年齢が上なのは判るが、自称「へんなおっさん」は何かの間違いではないか?

これで面子が揃った。


第5章:そろそろ帰らないと...

スケートの後、5人で2次会へ。といっても、酒ではなくファミレス。
ここまで遠征してきたのに、なぜファミレス?
まさかこの時、ご当地の名物に「豚骨ラーメン」しか思い浮かばなかったなんて、言えない。
そこでどのような会話が交わされたのかは、申し訳ないのだが、なぜか全く覚えていない。
気になっていたのは、飛行機。

なぜこの時刻になっても突発君は動かないんだ?
地下鉄の時間を計算に入れての余裕なのか?

いや、地下鉄どころの話ではない。

思い出した! 彼は帰りの航空チケットを持っていない。
あるのは、JRの「青春18切符」...
そう。彼は、在来線の普通電車を乗り継いで関東まで帰る計画なのだ。
空路で日帰りも我ながら凄いことだが、いったい何日かけて帰るつもりだ?

一転、窮地に立たされた私。


第6章:走れ!

せっかく集まってくれたのに、挨拶もろくにせず後にするわけには行かない。
その時は平静を装っていたが、内心は冷や汗モノ。
間に合わなかったらどうしよう。
気になりだす、航空チケットと、羽田の駐車場に止めた車の駐車料金。
歩道、地下鉄の階段、駅のホーム、空港のロビー、走る、走る。
案内カウンターを発見!飛び付いて場所を確認。

「羽田行きの便はどこ?」
「ジャルですか、アナですか?」

えっ?
チケットを見せる。また走る。
前方に行列を発見!とりあえず並ぶ。
これぞ羽田に向かう人の列。
ふ〜っ、まにあったぁ〜。


最終章:その後...

無事に羽田に到着。
駐車料金は3,000円とちょっとだったかな。
こんなもんで済んで良かった。

今の時刻は午後9時少し前。
とにかく密度の濃い1日だった。
車を走らせるが、すぐに眠気に襲われる。
環状8号線の途中、見つけたコンビニの駐車場でひと休み。
気が付いたら、外は明るくなっていた。

それから半年くらい後だろうか。
あの「とんでもない2人」と東伏見で再会。
今でも交流が続いていることは私にとって大変名誉なことだ。
突発君はというと、青春18切符を「これでもか!」というほど謳歌したようで、
道中、モバイル端末から何通かメールを送ってきてくれた。
第2回日比谷シティ貸切計画の後あたりから姿を見なくなったが、
つい先日、偶然にも所沢のコンビニで見かけた。
昔から全然変わっていない様子。

「最近は『遠い』遠征ばかりで参加しにくい」
という言葉を残していった。

今回は、ここまで。


遠征レポートのページへ
トップページへ