第6章:ゴールは近い

25kmの目標まで残り2周。
このあたりになるとすっかりコツも掴めて、気持ち的にも体力的にも余裕が出てきた。
最後の1周も残りあとわずか。時間もあるし、撮影し忘れたところもある。
何よりも、3年越しでやっと実現した大遠征、ここで終わってしまうのは心惜しい。
今度はもっと味わいながら、もう1周楽しもう。

風は今でも強い。
観客が一番多いメインストレートから左のカーブの過ぎると、すぐに向かい風になる。
ホッケーならではのバック滑走で滑ってみる。
後方からスピードスケートの格好をした人が近づいてきた。
向かい風がかなりきつそう。
私を見るなり、「良いねぇ、バックができて。これじゃできないから...」と
クロスカントリー用のスケートを指さす。
あっという間に抜かされてしまった。
できれば私もそのスケートが欲しい。
でも7年以上も愛用しているこのホッケーで、
おかしな得意技を織りまぜながら気楽に滑ることが、
今は楽しいと思っている。
今度は追い風。高ぶる気持ちのせいか、風に乗っているせいか、
知らないうちにスピードはグングンと上がっていく。
姿勢を低くしてスピードスケーターの真似をしてみる。
高速滑走も楽しみのひとつ。
残り距離を急速に消費する贅沢な楽しみ。
そんなわけで、追い風のコースもあっという間に終わり。
今度はあの因縁の向かい風。
今となればこれも楽しみのひとつ。
バックと左右のクロスで切り抜ける。
鹿の姿はもうなかった。
サービスポイントに到着。
品切れしていたチーズが復活していた。
もちろん食べた。
コンソメスープは、品切れ。
スポーツドリンクのエネルゲン、もちろん飲んだ。
これで思い残すことはない。
スタンプポイント、最後もやっぱり「行ってきま〜す!」。
ここからはのんびり、ゴールイン!

時間は5時間40分、2時間遅れのスタートのため、実際は3時間30分くらい。
まだまだ滑れるような気がする。
動画コーナー用の撮影がなければ、きっと限界まで滑っていただろう。
とりあえず、完走証とメダル、盛りだくさんの参加賞が片手で持ちきれない。
これでは撮影ができない。
アンケートのインタビューにもしっかり答える。
その代わりに参加賞を入れる袋をいただいた。
それでも撮影は無理。
身軽になるために、一度ホテルに戻ることにした。
スノボウェアを着替えていつもの滑走スタイルに。

しばらく撮影を続けたが、午後4時現在で気温は氷点下4度。
さすがに寒い。スノボウェアに戻ることに...


1 2 3 4 5 6 >>次頁

トップページへ